いつも通りにポケモンリーグの扉が開かれる。
四天王戦の初戦を務めるリョウは「よしっ」と小さく気合をいれて立ちあがる。
そして、扉の奥からゆっくりと挑戦者であろう影が近づいて来た。
どんなタイプの使い手だろう?どんな技を見せてくるのだろう?
リョウの心の中はそんな好奇心でいっぱいになる。
だが、挑戦者が完全に姿を現した時、リョウの好奇心は一気にぶっ飛んだ。

 

!?な、なんで泣いてるの!?!?」

 

 

 

 

 

の理由

 

 

 

 

 

リョウの前に姿を現したのは泣きべそをかくだった。
のポケモンリーグ挑戦を一旦中止してリョウはの元へと駆け寄った。
持っていたハンカチを手渡すとは涙目で「ありがとう」と言ってからリョウのハンカチで涙を拭った。

 

、なにかあったの?」

 

リョウが酷く不安げな声でに尋ねるとは首を横に降る。
そんなの行動にリョウは人には言えないようなことを誰かにされたのではないかと考えた。
リョウの心にドス黒い感情が芽吹く。
を泣かせた奴を完膚なきまでに潰してやりたいと思った。
だが、の次のひとことでリョウのどす黒い感情はあっという間に消し飛んだ。

 

「目にゴミが入った……」
「ああっ、目を擦ったら目に傷がついちゃうよ!」

 

の涙の原因はただのゴミだったらしい。
他人になにかをされたわけではないことに少し安堵したが、
のことになるとここまで周りが見えなくなる自分にリョウは自虐的な笑みを浮かべた。
それから数分後。の目からゴミがやっととることができた。

 

「迷惑かけてゴメンね」
「ボクはいいけど、、本当に大丈夫?
やっぱり今日はリーグへの挑戦はやめた方がいいんじゃない?」
「………」

 

リョウに大事をとるように言われては黙りこくる。
確かにリョウの言う通りにすべきなのだが、ここで帰るというのもなかなかに情けない。
たかだか目にゴミが入ったぐらいでリーグ挑戦を諦めるというのは恥かしいことだった。
でも、リョウが本気で自分のことを心配している姿を見ては小さな溜め息をついてから申し訳なさそうに言った。

 

「…ゴメン、今日はリーグ挑戦辞退する」
「うん、その方がいいよ。それじゃ、家まで送るよ」
「え、でも、リーグは?」
「大丈夫、大丈夫。リーグに挑戦してくる人間なんてぐらいしかいないから」

 

ニコニコと笑顔でそう言ってリョウはの腰からフライゴンの入ったボールを取り放る。
するとフライゴンはすぐにたちが自分の背に乗りやすいように姿勢をかがめてくれた。
ヒョイと身軽にリョウはフライゴンに乗りこむと、そっとに手を差し伸べる。
そのリョウの手をはおずおずとした様子でとりフライゴンの背へと乗りこんだ。

 

「それじゃ、の家までしゅっぱーつ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■いいわけ
 一度入ってしまうと基本出られないポケモンリーグ。でも、こういう制度もあったらいいなと。
いえ、ゲームでこんな制度あったら嫌ですけども。
 にしても、何気にリョウくんと夢主のフライゴンは仲がいいのでしょうか?某電波のひとがこんなことしたら確実にズタボロですよ(笑)