女の子という生き物は虫が苦手な場合が多い。
それに伴って虫ポケモンも女の子には人気はない。
なので、虫ポケモンが出てくると「キャア!」と叫び声を上げる者も少なくはない。ここシンオウのポケモンリーグで四天王の先鋒を担っているリョウは何度かそんな状況にあったがある。
かなり叫び声を上げることについて不満はあるのだが、でも我慢できる程度だ。しかしリョウは今少しだけ虫を嫌わない女の子を好きになってしまったことを少し後悔していた。
「(寂しい…)」
部屋に出てきたゴキブリを平然と無言で退治する少女――にリョウはがくりと項垂れた。
ちょっと寂しい彼女の対応
「、全然虫大丈夫なんだね」
「…うん、住んでる所が自然の豊かな場所だったから」
「そうなんだ…」
リョウは行ったことがないのだが、はマーキャ地方のコキアケタウンという町の出身。
そのコキアケタウンは自然が豊富で、非常に美しい町で、
その豊かな自然のおかげで、生息しているポケモンたちも平均の大きさよりも多少大きいと言う調査結果も出ているほどだ。そんな場所に住んでいたのだから虫に遭遇するなどにとっては毎度のことだったのだろう。
おかげでは虫という生き物にまったく動じないたくましい精神の持ち主になっていた。
「(ちょっとぐらいは恐がって欲しかったなぁ…)」
我侭な話だということは分かっている。
それでも、リョウはが「キャア」と叫んで自分を頼ってくることを想像したのだ。確実に現実に起きそうにもない想像だが、それでもリョウはその夢想に憧れた。
「ねぇ、のきらいなものってなに?」
「……束縛」
簡潔な言葉がリョウに返ってきた。しかもこれまたリョウの夢を叩き壊す内容だった。を自分の傍にずっと置いておきたい。そんなことを思っていたリョウには大打撃だ。
「(でも、嫌いになれないんだよなぁ…)」
の頭を撫でながらリョウは溜め息をつく。
はわけがわかっていないのか不思議そうな顔をしつつも大人しくリョウに身にまかせていた。
■いいわけ