「口にあうといいんだけど……」
は苦笑いしてレッドの前に綺麗にラッピングされた箱をさし出した。レッドは大きく目を見開き、その箱を見つめた。
今日は恋人達の日。バレンタイン。レッドの鼓動は高鳴った。
自分のポケモン達を更に強くするためにレッドは色々な場所を訪れていた。
一週間も滞在するときもあれば、1日しかいないときもある。
そんなわけで、ほぼ特定の場所似などいることはなかった。
時々は、母親やオーキド博士に連絡をいれることもあるが、一ヶ月に一度連絡をいれればいいほうといった感じだ。
今日も、他の町に向うためにギャラドスに乗って移動していた。そんなところに…
「レッド〜!」
パートナーのリザードンにまたがりはその姿を見せた。相変わらずリザードンがよく似合っていた。
レッドは一瞬、何がなんだかわからなくなったが、とりあえずだとわかるとギャラドスに止るように言った。
「久しぶりだねレッド。元気にしてた??」
ニコニコと笑いながらレッドとの視線を合わせる。
レッドに挨拶を言うとレッドを乗せているギャラドスにも確り声をかけている。
レッドは突然の訪問(?)者に驚きを隠せないでいた。しかし、それには全く気付かずは笑顔を浮かべている。
「あ、ああ…でも、…どうやってオレがここにいるって事を…?」
レッドにとって、これが一番の不思議だ。ここ最近は誰とも連絡をとっていなかった。
だが、は完全に、レッドに会いに来たようだった。
はレッドに問われてきょとんとした。
そしてレッドが質問した理由に気付いたのか納得したように笑って答えた。
「モンスターフィールド固有のモンスターネットワークでね」
悪戯を成功させて笑う子供のような笑顔をはその顔に浮かべた。
なんでも、の祖母が所有するモンスターフィールドが中心となっている、
モンスターネットワークでレッドの大体の居場所を予測し、こうして簡単にレッドに会うことが出来たらしい。
「レッドは初のモンスターネットワークの目標になったんだよ」
「なんか、喜んでいいのか悪いのか…」
「一応喜んでおいてよ」
レッドがごもっともな意見を言うとは苦笑いを浮かべた。
「そーいえば、はなんのようでオレに会いに着たんだ?
別にモンスターネットワークを使いたかったからじゃないだろ?」
「え?あっうん…」
思い出したように尋ねるレッド。そんなレッドの問いには歯切れ悪くあいづちを返した。
レッドは不思議そうに『どうした?』と声をかけるが、はやはり途切れ悪く答えた。
「今日…バレンタインだから…」
「あっ!!」
マサラタウンのレッド。一生の不覚だ。大切な行事を綺麗さっぱり忘れてしまっていた。
だが、二人は恋人どうしてはないのだから特別大切な行事ではない気がするが、この際、気にはしない。
恥かしそうに下を向く。そんな滅多に見ることの出来ないの姿にレッドの期待感は高まる一方だ。
「あのね…レッド………」
「あ、ああ…」
「これ…口にあうといいんだけど……」
は苦笑いしてレッドの前に綺麗にラッピングされた箱をさし出した。
レッドは大きく目を見開き、その箱を見つめた。
これは完全にバレンタイン用にラッピングされたチョコレートの入った箱だ。レッドのよく当る勘はそう言っている。
「でも、これただの口実なの。レッドの言う通りモンスターネットワークの試運転が目的で……」
恥かしそうに頭を下げながら正直に答える。レッドにとってこの正直さ、素直さは別意味、拷問だった。
「ああ……そう…」
がっくりと肩を落として返事を返すレッド。割と大きな期待をしていただけに、期待を裏切られた衝撃は大きい。
…と、言っても、勝手にレッドが創造していたことだし、
この事実を言うことになった理由と言うのもレッド自身なのでなんともいえない。
『ああ、変なこと言うんじゃなかった…』と心の中で大きく落ちこむレッドだった。
「あっ、でもこれちゃんと手作りだし、レッドにはお世話になってるお礼だから」
重くなった場の雰囲気を明るくするようには笑って言った。
レッドもの言葉を聞いて幾分か気力を取り戻した。
「貰ってもらえる…かな…?」
相手の気をうかがうように恐る恐る尋ねる。そんなにレッドは愛しさを覚えた。
「もちろん!オレ、スッゲー嬉しいから!」
チョコレートついでにの手まで握り、レッドは熱っぽく答えた。は嬉しそうに笑って答える。
「!うん!そんなに喜んでもらえると私も嬉しいよ。ありがとうねレッド。これからもよろしくね」
「ああ!」