「これからレイリが経営していく【魔法店】っていう括りのお店は、
 主にマジックアイテムを販売しているお店なんだよ」
「…【イムペリウム魔法店】はあんまりマジックアイテム扱ってないけどね」
「理由はレイリも知ってるでしょ?
 ハルナちゃんの学校が忙しくて【魔法店】として営業してないって」
「まぁね、わかっててここを贔屓にしているんだけどね」
「本当の【魔法店】って面倒なんだよね。ボクたちみたいな種族は」
「なのよね。店員たちのあの好奇心でいっぱいの視線…!
 思い出しただけでもイライラするわ…」
「話がそれだけど、とにかくこれからレイリには、
 【イムペリウム魔法店】を【魔法店】として経営してもらうからね」
「……さっきから黙って聞いていれば、随分と失礼なことを言ってくれるな」
「何度も言うようだけど、ボクは本当のことしか言ってないよ。
 その証拠に、店の商品棚に商品が少なくて残念な状態だよ」
「………」
「お、お兄ちゃんっ、
シローさんの言うとおり、うちは【魔法店】としては営業してないじゃないっ」
「だが、うちの店を名ばかりだと言われているんだぞ?」
「で、でも事実だし……」
「ほらほら、店長さんが認めてるんだからユートも認めようよ」
「…………(納得いっていない表情)
「…………(物凄い笑顔)
睨みあう両者。
「(やっぱりこの2人相性よくわないわね。どうでもいいけど)」
「と、とにかく!
 これからレイリお姉ちゃんがお店を切り盛りしてくれるってことなんだよね!?」
「ええ、ハルナのためならえんやこらよ♪」
「ユート、話を戻してもいいよね?(笑顔)
「……ああ(不服)
「【魔法店】は自家生産型か仕入れ型に分けられるんだけど、
 合成釜があるところを見ると、
 【イムペリウム魔法店】は自家生産型の魔法店だったみたいだね」
「はい!よくお父さんが合成に失敗して真っ黒焦げになってました!」
「…ハルナ、それはあまり大きな声で言うことじゃないだろう……」
「豪快なお父さんだったんだね。
 近い将来、ハルナちゃんのお父さんと同じ運命を追う人が出てきそう心配だね」
(ユートを見る)
(レイリを見る)
喧嘩勃発。
「あははー、レイリー、ボクの話を真面目に聞く気あるのー?」
「あるわよっ。ユート相手に私が手間取るわけな――ぶっ!
「『窮鼠猫を噛む』だ」
「(あ、レイリより格下って自覚はあるんだ)
 レイリー、話聞いてるなら話を続けるからね」
「……ッ!(親指立てる)
「自家生産型の【魔法店】は、
 その名のとおりにマジックアイテムを自分で作るのが一番の特徴なんだ。
 自分で作る分、手間と時間は掛かるけど、売れさえすれば収益は上がるんだよ」
「と、いうことは、利益を上げやすいってことですね!
 …でも、自家生産の【魔法店】って少ないですよね?」
「うん、それはね、マジックアイテムを作るためには、
 魔法に対する知識と魔力が必要になってくるからなんだよ。
 魔力を持っている人間は限られてるから、
 マジックアイテムを作ることができる人間自体が少ないんだ。
 それに、納入専門の方が掛かる労力が少ないこともあるかな」
「…それだと、レイリお姉ちゃんも納入専門の方がいいんじゃ…?」
「ううん、それじゃだめなんだ。一番収益の上がる方法でいかないとね」
「そう…ですね。目標金額が金額ですから……」
「大丈夫だよハルナちゃん。
 ボクがレイリに極限まで利益を上げる方法を教えるから」
「そして、レイリを馬車馬の如く使うのか?」
「!!ジローさん!」
「うん、その通りだよジロー。
 あと、キミやユートたちにも身を粉にして働いてもらうからね」
「なっ!?どうして俺やジローまで――」
「 胸 に 手 を 当 て て よ く 考 え て み な よ (笑顔) 」
「…………す…すまない……」
「…それで?私を馬車馬の如く使って、
 ジローたちに身を粉にして働かせてどうやって利益を得るのよ?」
「それは次回から順を追って説明していくよ」
「……やっぱりいつもの方法の方が――」
「馬車馬以上に働くことになるよ?」

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