「さぁ、アイテム合成の作業に入るよ」
「意外に道のりが長かったわね」
「でも、丁度いいでしょ?
 レイリは夜の方が魔力のコントロールが利くんだし」
「…まぁ、確かにコントロールも濃度も増すけど……。
 レベルの高いマジックアイテムならともかく、今回に限っては重要?」
「もちろんだよ。レベルに関係なく作り手の魔力は重要なポイントだよ。
 お店の固定客を増やすためにも、アイテム作りに気を抜いちゃダメだよ」
「あんまり力使いたくないんだけどねぇ……」
「…レイリ、年寄りくさいぞ」
「失敬なっ、私はまだまだ若いわよ!」
「吸血鬼基準でね」
「アンタたち…!!」
「お、落ち着いてレイリお姉ちゃん!
 あ、そうだ!アイテム作りは私がやるよ!勉強の一環にもなるし!」
「それはダメだ。お前は普通の魔法使いよりも魔力があるが、
 学校の授業に加えてアイテム合成までやっていては魔力が枯渇する。
 一歩間違えば命を危険にさらす可能性もあるんだ、絶対にダメだ」
「で、でも……」
「私もユートの意見に賛成よ。
 ハルナに危ないことさせるぐらいだったら自分でちゃんとやるわ」
「…大丈夫なの?お姉ちゃん最近……」
「大丈夫、大丈夫。人より何十倍も丈夫な体だから」
「ハルナちゃん、本人がそう言ってるから大丈夫だよ。
 それに、元々アイテム合成はレイリの一番の仕事なんだから」
「…レイリからこの仕事を取ったらなにも残らないよな」
……なんですと…?
「ジロー、なにも残らないっていうのは言いすぎだよ。
 ちょっとは残るよ?小指の先ぐらいの仕事は
「さっきからなんなのよアンタたちはッ!!
 いい加減にしないと喰うわよ!?」
「喰えるものなら」
(アンデットであるため、基本的に食えない)
「あはは、無理だよね」
(種族間でのいざこざの原因となるため喰えない)
「ああっ…!くそぅ……!!」
「二人とも、そうレイリをからかうな」
「…本当にコージローはお母さん体質だよな」
「……大分前から自覚してる(汗)
「外見はどう見てもお父さんなのにね」
「俺のことはいいから、
 そろそろアイテム合成の説明をしてくれないか?(汗)
「…そうね、始めないことには終わらないし、腹をくくらないと進まないし…」
「レイリ、決心はついた?」
「…ええ、始めてちょうだい」
「うん。それじゃ、まずは合成釜の前に移動しようか」
【 合成画面 】
「合成したいアイテムのレシピを選択すると、合成ができるんだよ」
「簡単だな」
「選ぶだけならね」
【 合成確認画面 】
「レシピを選択すると、素材の詳細がでてくるんだけど、
 こうやって【×】印が出ているのは、材料の個数が足りないってことなんだ」
「それじゃあこのアイテムは合成できませんね」
「うん。材料が一種類でも欠けていると絶対に合成はできないから、
 合成をするときは材料のストックに注意してね」
「シロー、【調合】と【まとめて調合】の違いはなんなんだ?」
「ああ、【まとめて調合】を選ぶとね、時間と材料は倍かかるんだけど、
 普通の【調合】よりもアイテムを多く合成することができるんだよ」
「売れ行きがいいアイテムとかは【まとめて調合】にした方がいいわね」
「依頼用に用意しておくアイテムは普通の【調合】で間に合うだろうな」
「レイリ、試しにアイテム合成をしてみたらどうだ?」
「そうね、予行練習がてら、やってみましょうか」
「レイリお姉ちゃん、なにを作るの?」
「そうねぇ…、【ソンリス美容液】にしましょうか。材料余ってるし」
「そうそうレイリ、ちゃんと商品の陳列も決めてね」
【 商品棚設定画面 】
「…ああ、今は問題ないけど、レシピが増えて、作れるアイテムが増えてきたら、
 商品の陳列にも気を使わないといけなくなってくるわね」
「適当に置いておけば売れるってものじゃないからね」
「時期によって売れるアイテムも変わってくる上に、
 その時の流行も係わってくるからな」
「…その流行はどうやって調べるんだ?
 俺たち、究極的に流行には疎いぞ」
「それは私に任せてください!
 報道部で鍛えた情報収集力でバッチリ調べてきます!」
「ハルナは頼もしいわね〜。どこかのお兄さんとは大違い」
「当然だ。ハルナはどこぞの箱入り吸血鬼とは違うからな」
喧嘩勃ぱ――
【 合成結果画面 】
「…………」
「…………」
「適当な仕事をすると、こうやって結果に現れるんだよ」
「……マジですか」
「本当のことを言うと、
 今のレイリにはちょっとこのアイテムはレベルが高かったんだ。
 自分の実力よりも高いアイテムを選んで合成すると、失敗する確率が上がって、
 本来合成できる数よりも少ない数しかできあがらないんだよ」
「ちなみに、自分の実力を向上させる方法は?」
「地道にアイテム合成を成功させるか、
 勉強に行くしかないんじゃないかな」
「…地道ね」
「仕方ないよ、レイリは大量のアイテム合成に関しては素人だから」
「ああ、あの魔力が分散する感じは確かになれないわね。
 ……でも、やってやれないものでもないし、根気強くやっていくとしましょう」
「…意外に前向きだな」
「面倒だと言ってごねると思ったが」
「アンタたちの中で私はどれだけダメな存在なのかしらね」
「『パンがないならお菓子を食べればいいじゃない』的な」
「…それはあまりに酷すぎやしませんか」

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